元気を出す!!平成会左官セミナー

 

 

 

日時  平成23年7月9日(土) 午後4時00分〜7時45分日時:平成23年

場所  晴海トリトンスクエアオフィスタワーZ棟1F住まいづくりナビセンター会議室

議題   「業界の将来と展望及び経営戦略」

 

東京都左官職組合連合会青年部「平成会」は7月9日に晴海トリトンスクエアーにて「左官経営セミナー」と題したパネルディスカッションを開催した。

パネラーには日本左官業組合連合会青年部本部長の阿島一浩氏、日本左官業組合連合会青年部北海道ブロック部長の中屋敷剛氏、平成会会長の原田宗亮氏が登場し、「業界の将来と展望および経営戦略」について議論をした。

ディスカッションの主なテーマは

     若手を増やしていくにはどうしたらよいか?

     仕事を増やしていくにはどうしたらよいか?

2点であり、熱い議論が繰り返された。

 

パネラー紹介

阿嶋―浩氏

株式会社あじま左官工芸代表取締役社長 1962年(昭和37年)12月東京都生まれ

言わずと知れた落研キャラは業界の誰もが認める頭脳明晰、センスの良さを覗わせるところである。また、1級左官技能及び基幹技能者であり技術管理にも日夜厳しい目を光らせている。賢者TV出演、業界の将来はこの人の手に?

中屋敷剛氏

中屋敷左官工業株式会社代表取締役社長 1967(昭和42年)1月札幌市生まれ

左官の将来を数式データにより解析、問題点の指摘と対処の早さに定評あり。青年部の中枢的存在。1級建築施工管理技士、外壁仕上診断技術者、建築改修施工管理技術者等現場管理のプロフェッショナルである。北の大地より冷静に見渡した左官業界の問題点をグサリ。

原田宗亮氏

有限会社原田左官工業所代表取締役社 1974(昭和49年)8月28日東京都生まれ

平成会会長に就任後、技能講習会やワークショップを企画、左官の啓蒙活動を行っている。

現場では技術やデザインなど業界の情報最先端で働いている。2級施工管理技士、左官基幹技能者など取得、メディアヘの進出も目覚しい。若くして億の企業を動かす手腕は類まれなもの。

 

議事

まず、若手を増やしていくにはどうしたらよいか?という議題については、左官職人の年齢層の現状把握が出された。日左連誌#660(2011 5-6月号)に示されているが、全国の左官就業者数は1990年に約20万人であったものが、2000年に全国に約15万人となっている。2010年には過去データから予測した数字であるが約10万人までに減少し、その内訳は55歳以上が過半数を占めることとなります。

このことから、今から人材・職人を育成していく必要がある。

左官職人が減っていくことが明らかになっている現状を悲観するのではなく、近い将来、職人が減少したときに「技術を持った人材がいる会社にいる」という展望があれば、明るく進めるのではないか?

では若い人たちを育成し、職人として育てていくにはどうすればよいか?

今と昔の職人の育て方に違いがあり、昔式に育ててもなかなか定着していかず、また職人として一通り技術を身に付けるのに非常に時間が掛かってしまう。

昔は仕事でも何でも、見て習った。今の若い人たちは教えられて育ってきている。よい悪いではなく、今の世代の価値観に合わせて育成すれば、しっかり育っていくのではないか?

「見習い」→見て習う という時代から、これからは若い人たちを「教育」「育成」するという方法がよいのではないかという議論が展開された。

 

中屋敷氏より、平成会の顧問でもある久住章氏が提唱する3×6のベニヤ一枚分の中塗りを1時間に20回以上塗り剥がしができきるように繰り返すというトレーニング方法が提案された。

久住氏の塗り方をビデオにとって繰り返し観て、鏝の動き、鏝数、手首の動き、呼吸まで全てをまねさせる。スポーツの世界では「モデリング」という手法で、これは驚くほど成果を挙げている。これはYou Tubeにもアップされているので是非、見ていただきたいということであった。

http://www.youtube.com/watch?v=wwM9u4jc9QI&feature=mh_lolz&list=FLAbIlrlTgCI

 

また、若い人は入職しても定着せず、やめてしまう。ということに関しては、

今の若い人が左官職人を目指すに当たって「あこがれ」がないのではないか?

若い人たちに「あこがれ」「目標」を持たせてあげるような入職者を定着させる仕組み作りが必要である。あこがれを持てる様なスター職人を出す、または先輩たちが憧れを持てるようにかっこいい姿を見せる。見習い期間が終わった時に「年季明け」のお祝いをする。等のディスカッションがなされた。

 

 

また、もう一つの大きなテーマである

左官の仕事を増やしていくにはどうしたらよいか?ということについては、

 

我々左官職人は、はがして、壊して、埋めなおして、張って、目地を詰めるまでも自分たちで作業できる。今まではゼネコン・工務店だけから仕事をもらっていたBtoB(ビジネス間取引)のみだった。これからはBtoBだけでなくBtoC(ビジネスとカスタマーの取引)の仕事も増やしていくべきなのではないか?

左官業界だからこそできる新しい価値を発信する必要があるのではないか?

それには施主にダイレクトに響くPR方法、DMの出し方が必要になってくる。我々はそのPR方法も学んでいく必要がある。

 

また、左官仕上げが環境・体によいと言われているがなぜ、左官仕上げの仕事が急増しないか?という議題については、

施主はやりたいと思っているが、工務店は工程管理や傷の問題などからやりたがらない。もしくは工務店が技術を持った左官店を知らないため、「左官仕上げはできません。漆喰を塗れる人はいません。」と断ってしまう。そのために左官仕上げは急増していかないのではないか?施主がせっかくやりたいと思っても、途中で仕事が途絶えてしまう。そういった事態にならないためにはしっかりターゲットを絞ってPRをする必要があるのではないか?

という議論が交わされた。

 

また、左官のPRについて中屋敷氏より

PRは釣りとよく似ている。まずは何を釣りたいか?「ターゲット」を決める。

我々が漆喰を売りたいと思ったら、どこがターゲットになるだろうか?

どんなお客様が漆喰を求めているか?

たとえば、赤ちゃんが生まれる家庭・産婦人科

生まれたときに、ビニルクロスに囲まれた環境で育てるのか、ゼロリスクの自然素材の中で育てるのか?どちらがよいですか?と問いかけたら妊婦さんも医院長さんも自然素材を選ぶと思う。

まず、自社の中でもPRしたい商品を、誰が欲しがっているか、ターゲットを仮定して、集中してPRをしていく。それが正しかったか間違っていたかを繰り返しやり続けることが成功するPRの近道なのではないか?という提案が出て、具体的に今、同社で成功している

コンクリート打ち放しのDMの手法について説明がなされた。

阿嶋氏からは、私は過去、セールスの学校に行き、営業の技術を磨いた。飛び込みの営業は初めはほぼ断られるが、繰り返し行い、成果を振り返ることで営業の打率が上がってくるという成功事例を話された。

平成会では、通常、技術講習会が中心であり、座学のセミナーは初めての試みであったが、50名近い方々に受講いただき、非常に熱く、具体的な議論が展開され、大成功であった。

また、今回、人材育成の成功事例や左官PRの成功事例がいくつも披露された。今後は、この3社だけでなく、各地の左官店の成功事例を集め、日左連や各県連等で検討し、展開していければ、左官の未来は明るいのではないだろうか?

最後にセミナー出席者からどうしたら左官業界はよくなるかとの質問に

パネラーから日左連・青年部でも提唱している雇用・教育が骨幹と考えるが、更に価格競争をしないで安価受注をしないまた若い職人さんに仕事をシフトしてゆくことが必要だと回答があった。

また同じくセミナー出席者からこれからの左官はお客様本意の仕事に傾注すべきで、例えば一般住宅で下地が悪い場合には将来不具合が発生する可能性が高く施工すべきでないと考えます。との意見がありました。

 

 

パネラーの成功事例も掲載されているホームページ・ブログも、ご覧頂きたい。

鰍じま左官工芸 トップページより賢者TV

http://www.ajimaart.co.jp/

中屋敷左官工業梶@中屋敷社長がお伝えする現場リポート

http://ameblo.jp/nakayashiki-sakan/

()原田左官工業所 原田左官のブログ「夢とロマンを持って仕事をしています!」

http://haradasakan.cocolog-nifty.com/