「土の王宮をつくる」展

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東京都左官職組合連合会平成会は新宿パークタワー内OZONEで開かれた「東京ハウスミーティング2003」に出展いた しました。当初、4階ブースに1箇所を借り、3日間の予定でしたが、OZONE側スタッフの皆様、隣で出展予定の兜ヌ公房 様のご好意により、全開催中、2週間という長丁場の出展を許され、来場者の皆様を飽きさせない催しや出展を全員で手がけ、 なんと120種類の壁や床見本を作製することになりました。今までメーカーサイドに頼った既調合の材料を使ったものでは なく、左官材料、自然素材の性質の素晴らしさを確認し、各自がデザイン、配合を勉強して、意匠的にも最高の見本 120種類が完成しました。120個の見本というだけでは、簡単なのですが、120種類というのは並大抵のことでは ありませんでした。会員の中には、徹夜で間に合わせるもの、休みの日にこどものアイデアを借りるもの、いざとなったら食べられる壁 とかとてもユニークな作品もありました。開催中にこの見本が所狭しと平成会ブースに飾られ、来場者の皆様を驚かせていました。 出展期間中のエンドユーザーの反応は、土壁、漆喰はもちろんのこと、いろいろな石や砂などを使った洗い出しが好評で、是非、売って 欲しいと申し込まれた見本もあったほどでした。
また、珪藻土の原料メーカーである昭和化学工業蒲lからいろいろな珪藻土のサンプルをご提供いただき、ブースをにぎやかに していただきました。珪藻土は左官業界の救世主とも言える材料ですが、我々それを使用する左官側、本当に珪藻土の性質などを 把握しているか、どうか疑問でしたが、来場の皆さんの質問を予想して、レジメを作ったり、実際にお客さんの質問に応え、 大変勉強になったと思います。来場者の中には、建築家はもちろん、エンドユーザーの中にもアレルギー体質で、我々以上に 珪藻土や漆喰の知識が豊富な方々もいて、ブースに詰めている平成会相談員が対応に四苦八苦する場面もしばしばありました。
3階吹き抜け部分では「土の王宮をつくる」展が開かれ、そちらでも、我々平成会が搬入、搬出という裏方から、表舞台まで 積極的に参加しました。日干煉瓦や泥団子は2ヶ月も前から、文化女子大の校内を借り、デザイナーや左官職人の指導で、延べ 80人の学生たちが泥団子を握り、レンガを作り、燦然と輝く太陽の下で本番のオブジェを想像しながら乾かしました。 OZONE開催期間の前半の1週間では、これらを積上げたり、鎌倉の山の中から伐採してきた竹を加工し、編んで、土を塗ったり した「城壁」は一般来場者も参加(ワークショップ)して、楽しく盛り上がりました。
また、王宮をとりまく、参画スクリーンも、平成会が参加して、6枚のスクリーンを出展したしました。竹炭やストローを 入れた泥壁、荒壁でデザインした泥壁、艶やかな色のマーブル磨き、伝統を感じる材料の切り返しで、波型にデザインした泥壁、土の中に 種を入れて塗り、開催まで毎日、水を与え、見事に芝草が生えている壁、リサイクルを念頭に入れ、畳の下地に土塗り、籾穀 やピーナッツを混ぜて、食べられる壁等、非常にユニークで個性的な作品を出展できました。左官コンテストのように、技を 競い合うのではなく、塗り手1人1人の個性が鏝に乗り移り、土壁にもその表情が出て、どこかホットするような、暖かい 作品が多数できました。
丹下健三氏設計のコンクリート建物の中に、土の王宮という左官オブジェが出現し、大変壮観でした。開催中の動員は予想を 遥かに超え、左官のPRには格好の場になったと自負いたしております。また、開催中は、東京の左官組合の先輩方はもちろん のこと全国の県連関係者の方々もお見えになり、ご指導、激励を頂き、旨が熱くなる思いでございました。21世紀の左官 復権に向けて、私達、平成会も微力ながら、ご協力を誓い合った次第で御座います。

   
サンプル製作 土の王宮作り(日干煉瓦) 会場全体 平成会ブース

東京都左官職組合連合会 平成会会長 阿島一浩記


                                           

「土の王宮をつくる」展 (新宿パークタワー、リビングデザインセンターOZONE)

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